「ながれものたちの夜」
みずすまし
THE安全ピン
ベランパレード
神頼みレコード
おれって奴はほんとうに
最低最低だ。
こんなこと書く必要はない。
だけど
ダメなこともさらけだしたいから書く。
嫌な思いをしたらごめんな。
でも君のために歌ったんだ。
嘘じゃないし枕もがんばってくれた。
俺たちは俺たちにしかできないことをやった。
ほんとはもっと優しくしたかった。
ギターを投げつければパンクだなんて俺は別にそんなことを伝えたいんじゃない。
でも俺はどうしてもそれしかできなかった。
黄色いギターはすぐに弦が切れた。
4曲目にはいるとき
キャサリンに持ち替えた。
キャサリンは強かった。
いつもより良い音がしていた。
俺は楽屋に戻った瞬間に膝から崩れ落ちた。
あんな気持ちになったのは初めてで。
良いライブをした。
とか
悪いライブをした。
客がのってたとか
のってなかったとか
鼻からそんもんは気にしちゃいない。
そういうことじゃないんだ。
それでも俺はなぜか心にデッカい穴を残した気がして。
どうしようもなかった。
一瞬にしてなにかを失った気さえした。
でも何を失ったのかわからない。
なにもかもがわからなかった。
涙がでないのが苦しかった。
このまま近くの踏切に飛び込んでしまおうかと思った。
そんなことをずっと考えていた。
いっそおれのことをエレキギターでぶん殴ったほしかった。
生きるのか死ぬのか。
悪者はだれなのか。
ロックってなんなんだろう。
バンドってなんだ。
正義ってなんだ。
世の中ってなんだ。
生きてるってなんだ。
そんな答えのないことばかり考えてた。
まくらはそっと側にいてくれた。
きっと俺をボコボコに殴りたかっただろう。
それでも優しく頭を叩いて俺を優しく叱りながら。
おれはなにも言えなかった。
だってなんでこんなことになってしまったのかわからなかったから。
だれも悪くないし。
それだけはわかっていた。
自分と自分の歯車が
思い切り合わなくなってしまった。
「あびくんに見られちゃうよ」
と枕に言われたけど
そのまま2人で楽屋にいた。
いま全てを置いてどこか遠くに逃げたかったんだけども。
そんなことできるわけがない。
ベランパレードがはじまるのがわかった。
あびくんのエレキギターと声だけからはじまった。
おれはまた泣きそうになってしまった。
優しい歌声に思い切り泣きたくて仕方なかった。
それでも涙はでない。
心が壊れてしまいそうだった。
演奏がバンドになった。
俺は重い腰をあげて楽屋の外にでた。
あびくんの歌声をちゃんと聞かなきゃいけないとおもった。
あびくんはなぜか腑に落ちない顔で寂しそうにガムシャラに歌ってた。
ナイトウォーリーが2、3曲目くらいだったんだけど。
それで少しだけ前の方にいってみた。
俺は楽屋でうずくまってた時はロックと呼ばれるものをうらんだ。
パンクロックなんて糞だと思った。
大嫌いになったしもう信じたくもなくなった。
漠然とそれがなにかもわからなくなった。
どん底に突き落とされた気分だ。ロックに。
生きてる意味もわからなくなって。
なにもできないことに腹が立って。
無力さに吐き気がした。
一瞬のことだ。
俺もなにもわからないんだ。
それについて答えはないんだ。
ロックンロールやパンクロックに
罪はないし正解も正義もないんだ。
それでも俺を救ったのはいつだって。
音楽であり。
歌であり。
そしてバンドだった。
暗闇からいつどんなときも
バンドが俺を救ってくれた。
それがあの日はあびくんの声だった。
ナイトウォーリーはぐちゃぐちゃだった。
あびくんの歌は乱れてた。
僕も同じだよ
と言わんばかりに
速度が増していた。
最後の曲であびくん何度も俺に笑いかけながら歌ってたいた。
ちょっとだけ自分が馬鹿らしくなった。
不安な気持ちを隠しながら
ウーララのマスターにバドワイザーを頼んだ。
ベランパレードのライブが終わってこっそり飲んでいたけども。
手が震えたまんまだった。
いまでもわからない。
どうしてあんな気持ちになったのか。
ほんとにわからない。
それでも君は救われたっていうからさ。
俺はやらなきゃ、しっかりしなきゃって思った。
ほんとうにながれものたちの夜に感謝をした。
俺は色んなものを壊したくないのにそれでも壊してるみたいだった。
むやみやたらに誰かを傷付けるライブだったんじゃないかなって
そんなことを思ってしまった。
それでも
それでも
ちゃんと俺を見てくれてる人がいる。
俺がうずくまりながらベランパレードをきいてるときに
ライブ中にも関わらずに
お客さんが
俺たちの物販を手に持って
おれに
これがほしい
とジェスチャーして
無言でお金を渡してきた。
ベランのライブがおわったあとに
さっきはありがとうございました
といったら
大阪なんだけどずっと気になってたの。
とてもかっこよかった。
といってくれた。
おれはまた救われた。
どっちがどっちのためなんかそんなことはないんだろうけども
おれほんとにしっかりしなきゃと思った。
あびくんは優しく笑いながら
ビール飲んでるの?
と話しかけてきた。
おれは
いや、ビールじゃないよ
と嘘をついて
そっかぁ。じゃあ僕はなにのもうかなぁ〜
といいながらカクテルを頼んでいた。
そっと乾杯をした。
あの日
あびくんと俺だけ
なんともいえないものを
抱いていたのかもなぁ。
あびくんはわからないけど。
強がったりするのはほんとはあんま得意じゃないし。
ほんとにクヨクヨしてた。
昔から。
言いたいことははっきりと言える方じゃないし。
なんだんだろう。
でもバンドに突き放されてバンドに救われた夜だった。
打ち上げで
企画をした2人の女の子とはなしをした。
いとちゃんとなるみちゃんと
他愛のない話をして。
藍ちゃんはこっそり
思ってることをはなしてくれた。
2人の想いを俺は忘れずに
必ずまた強くなって。
ウーララで出逢いたい。
自分を本当に嫌いになった夜だった。
そんなこと。
だれにだってあるんだよな。
少しだけ言葉にできることを残したかったから書くことにした。
ありがとう。
2015.9.12
ウーララのながれものたちの夜で
出逢えた全ての人たちに感謝します。
俺のどうしようもない夜のことを聴いてくれたあなたにも感謝する。
みんながんばって生きてくれ。
おれはがんばる。
笑われたっていい。
君のためならおれは笑われたっていい。
またあの夜に出逢えたあなたたちに
もう一度夜がくるならば
また俺たちをみてほしい。
北海道札幌のTHE安全ピンでした。
ロックンロールが鳴ってるかぎり
エレキギターが鳴ってかぎり
俺は負けない。
キミはフツーなんかじゃない。
大丈夫。
君は君で俺は俺だ。
また会おう。
あのイベントやばいよね
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