飛び出した。
僕は家を飛び出した。
誰かさんに貰ったマーチンの靴紐を
きつく縛りあげて
ドアを開けた。
夜はまだ始まったばかりの頃に
ギターを一本背負って。
いつもの商店街を歩くと
ふらふらと向かいから1人の男。
まったくこんな夜に俺を呼びつけて
ビール2杯で調子が悪くなったらしい。
少しだけ近くで歌っていたフジくんのうたを僕らはベンチに腰掛けビールを片手に聴いていた。
ふくよかな声だ。横に広がる感じがとても気持ちいい。
と変な男が現れる。
さっき俺にライブハウスの場所を尋ねてきた黒ずくめの男だ。
場所を教えたのはいいが当然
平日のてっぺん寸前で空いてる訳がなかろう。
彼もフジくんの路上を見る事にしたらしい。
それにしてもフジくんと黒ずくめの男の距離がやたら近い。近すぎる。
黒ずくめの男はこちらにやってきた。
エーライフはどこ?だってさ。
クラブを求めてるのか。
まぁ向こう側ですね
と適当に伝えると
彼はどこかに去っていった。
と思ったらすぐ戻ってきて
またまじかで路上をみて
道端をぐるぐる歩きはじめた。
よく風を読んでるような仕草をする。
手袋はいてるし違うんだろうけど。
あれはなんなんだろう。
不思議な人もいるものだ。
通りすがりの女に
拳銃の形を真似た手で
頭を撃ち抜く素振りもみせる。
なんなんだこの人。
気づいたらどこかにいってしまっていた。
うん。なかなか奇妙奇天烈だったなぁ。
あ、そんなことはどうでもいいか。
ふとすると隣にいた光太郎も体調が良くなってきて歌い出したそうな雰囲気をだしてきた。
場所を移動して僕らもうたうことにした。
光太郎さんの機嫌が良さそうな時はすぐにわかる。わかりやすいのか。
この人も不思議な人だなぁと思いながら2人でうたいはじめた。
自分の路上を終えたフジくんも来てくれて路上が終わると3人でビールを買ってベンチに座ってのんでいた。
他愛のなさ過ぎる11月。
フジくんと会うのは2回目。
とても気持ちの良い人だ。
気がつけば4時だ。
2時には帰るといってたのに。
困ったもんだ。眠い。
わかってる。
2度と僕とは会おうとしない君が
時折気にかけてこれをよんでること。
もの好きなものでくだらないとわかっていて読んでる君のこと。
わかってんだ。
ところで
忌野清志郎を崇拝しすぎて
おかしなひとってのは
多かれ少なかれ
無い話ではなないと思うんだ。
何でもかんでも鵜呑みにしちゃいかんさ。
清志郎は少なくとも誰かを狂わせたりしちゃったんだ。
勝手に狂っただけなんだけど。
おかしなはなしだよ。
伝道者だとか申し子だとかさ。
そんなこと言う人たちがいるんだもの。
もっと自分でいてほしいね。
もう好きなものはわかったから
自分が自分であるために
ね。
尊敬はするけど崇拝はしない。
神様は信じない。
生きてる誰かを信仰するなんて。
となると
やはりロックンロールも宗教じみてるなぁなんて思う時もある。
あれは別に救ってくれないんだよね。
絶対。それ分かってるから。
ロックンロール教ができたとしても
はいらないもんね(笑)
ああ、どうでもいいはなしについでどうでもいいはなしだ。
またどこかで会いましょう。
さらば。
それでも君が好きだというなら
それでいいってことだよ。
なるべく誰かを